2010年代、QIIMEから得られた微生物群集構造データを可視化するために、OTUMAMiというソフトを作成していました。OTUMAMiには、データの可視化だけでなく、QIIMEで用いる基本的なコマンドを自動で作成・実行するような機能を持たせていました。その後、2015年ごろからQIIMEはQIIME2に移行し、また、私の研究の矛先が水処理システムの微生物群集の理解から大きく変わったため、OTUMAMiはお蔵入りしていました。
OTUMAMiの優れたところは、微生物群集構造のデータを平易・実直に可視化するところです。QIIME2のような統計解析の機能はほぼありません。グラフィカルな可視化も、ごく限られています。でも、(1)例えば、まずは門レベルで構成をあらわし、相対的に量の多い門のみ綱レベルに展開し、挙動を調べる、(2)ヒートマップを二次元的に配置して実験条件と時系列との関係を眺めることができる、とか、(3)Rと組み合わせて系統分類に沿って主要な菌群を棒グラフに表示することができます。開発から10年以上経った今も、いずれの機能も未だに他に実現しているソフトウェアはないようです。必要がないから開発されなかったのかもしれませんが、私自身はこうした可視化は専門家だけでなく多くの人々に容易に理解してもらえる表現手法だと考えています。
今回、OTUMAMiをQIIME2からのデータをインポートして動かすことができるようにしました。また、あわせて幾つかの重要性の低い機能を削除し、少しですが動作を軽く、また、動かしやすく改造しました。
ダウンロードはこちらからどうぞ。動作させるにはClaris社のFileMaker Proが必要です。
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